ああしてこうしてそれ

遊んだゲームについてメモ程度に書きます

パラノマサイト

2023年3月9日発売

プレイ期間 2023年3月9日~同15日

 

store-jp.nintendo.com

 

ニンテンドーダイレクトでの初報から気になっていたので発売日にDL。忙しかったり個人的にぐったりしていたのもあって一日ちょっとずつやってクリア。一気にやった方が楽しかったかもしれないのだけは少し後悔。

ネタバレの無い範囲では、とにかくホラー演出に抵抗がないオカルト好きにはやってほしいと思うこと、それでありながらオカルトだけじゃない、群像劇が好きな人にもかなり刺さるんだろうと思った。とにかく私には刺さった。

ゲーム内資料もかなり細かく作られていて、チュートリアルを担う冒頭シーンからそれに触れられる。これに加えて美術、音楽を含めて世界観の構築が丁寧で、開始数十分で世界に引き込まれる体験がかなり良かった。

 

以下はストーリー等のネタバレあり

 

 

かなりわくわくしながら始めると案内人が語り掛けてくる。このデザインもまた絶妙な……。紳士的で、それでいて少し胡散臭く、物語の導入に居ながら物語に介入しない者、というのがはっきりとわかる。いい。ものすごく好き。

それはそうと案内人へ

「ゲーム開始早々に名前入力したらニンテンドーアカウントの名前だすのやめろ!めちゃくちゃドキッとしたわ!」

という苦情。

基本的にHNとして使うのは「あおば/蒼羽」、プレイヤーネームとして使用するのが「あかば/赫羽」といった感じで微妙な使い分けをしてたりするんですが、同じでやってたらならなかっただろうドッキリポイントで死ぬかと思った。最近なんかこの手のギミックを見かけたりするけど、ホラーテイストのゲームでされるとさすがにメタ超えてるって。

さて本編。個人的にびっくりポイントほとんど興家のターンだったと思う。

一番びっくりしたのは木の陰から出てくるエリオ。隠れなかったらあの演出じゃないんだけど、うっかり興家の言うとおりにしてあげたらこれだよ。エリオゆるさねえ……

興家√は、とにかくほかの呪主を殺って殺って殺ってついでに邪魔する人間も殺って呪詛玉に霊魂を集める物騒ゲームです。彼がこの事態に巻き込まれる発端となった葉子さんを生き返らせる(呪詛玉に霊魂をためると蘇りの秘術が使える)、その願いのためにひたすらに……!

会社の偉い人を殺し、深夜の学校から出てきた女子高生を殺し、よくわからない誰かを殺し、主婦を殺し、そしてアホを殺し、いざ願を叶える時ーー。彼は記憶を引き継がないまま葉子が生きている時間まで戻り、何かに導かれるままに葉子の動揺を鎮め、彼女はそのまま何もなかったかのように興家と会話をして帰宅させられ、翌朝に興家の死体がその公園で見つかる。

ここまでがプロローグなんですけど、本当に「こんなにあっさり他の呪主殺せちゃっていいんですか!?」っていう気持ちと「葉子を生き返らせるのに時間が戻ったらもうそれフラグですが!?」って最終的にどんでん返し食らったような感覚。めちゃくちゃ気持ちがいい……!

興家の話はこれで終わりです。って言いきられるのがまたびっくりした。え、終わってないよ多分これから〇〇を殺すのが正しいと興家に思わせるターンだよ。死んでるけど。そんな風に思いながら話を聞いていれば、案内人が一つ質問をしてくる。

「興家が殺したのは何人でしょうか?」

あとになってあれの正解のからくりが出るわけだけど、私はこのときの正解「1人」だったので、まだギミックに気づいていなくて「一人?誰?全員じゃないってこと?」と混乱することになり、後にもまた混乱することになります。これは本当にバカ。

 

さてここからは「やっこ/ミヲ」「津詰/エリオ」「春恵/リヒタ」の3組から自由に進めることができます。最初はね。

どう考えてもエリオと津詰のコンビが好き。刑事の上司と部下、先輩と後輩、ベテランと新米、天然と天然、めちゃくちゃに最高……!

この二人は基本的に呪詛玉回収!使うなボケカス~!ルート。これはこれで気持ちよかったし「事件」が背後にあるというのがはっきりしていく展開がまた気持ちよかった。他二組に関係のある「事件」も結びついていく、そう言ったストーリーギミックの中心にいる二人。安定した関係性。いい。

津詰という父親。彼が娘であるあやめちゃんに「元気で居てくれたらそれでいい」って言うけど、それはちゃんとあやめちゃんが大学でて社会人として働きはじめてから言う言葉なんだよな~!おたんこなす~!父親としては失格~!と思うし、真エンドではまだあやめちゃんときちんと話さず誤解させたままなんだろうなとおもうと、この時代の男だからか……!?とかいろいろ考えてしまった。けれど決して愛情に嘘は無いし、職業柄家族が弱みだと思われないように振舞うとそうなっちゃうとかあるんだろうな……とか。

死亡√であやめちゃんが「お父さん!」って叫ぶのほんと……このあやめちゃんはこのまま逃げきったらお父さん蘇らそうとしそうとか思った……。あとエリオ全然危ない感じにならないなって思ったら、根島に銃口向けてる時の震えとかよかったな。人間だこいつ………。

 

マダムこと春恵さんと、プロタン(プロ探偵)ことリヒタの親子っぽい感じもめちゃくちゃよかったけど、春恵さんの「殺された子どもを生き返らせたい」という事情考えるとなんか、じんとくる。春恵さん勝ちエンドで生き返った息子がリヒタのところを訪ねてるけど、警察官じゃなくて探偵になりたいって言ってるのって春恵さんがリヒタのこと話したからなんかな……でもあのエンディング、春恵さんは出てこないから、もしかして……とも思ってしまう。

春恵さんの息子を「誘拐した」犯人は既に死んでいて、実際に殺害した真犯人にたどり着いたときにもう死んでいて、マダムにとっては一つの目的を失ってしまっていたからこそ、余計に「もうこの子が生き返っても大丈夫」と思ってしまったのかもしれない。
春恵さんの芯の通り方も好きだったし、あやめちゃんに選択を迫られて、「私は自分が死んでもいいけどあなたは息子が生き返ったときに生きていないといけないでしょう?」って諭されて呪詛玉を渡すのも、母親の強い想いの良い悪いが出ててつらい……。でも一方であやめちゃんを容赦なく燃やすエンド好きなんだよな……なんだよ直接火種持ってなくても火が触れてたら燃やせるって………

真エンドでも欲した真相にたどり着き、それでもかけがえのないものがいなくなった世界で生きるしかない、という無情さがかなり心をえぐってくる……。

 

女子高生コンビのやっこミヲもめちゃくちゃ好きでめちゃくちゃ好き。こんな順番で書いているが一番最初に手を付けた√です。こっくりさんの文字に惹かれて……!

親友だった美智代ちゃんの死の真相を追うやっこと、その手助けをするミヲ。いい。

やっこは江戸っ子気質と言われていたが、どうも少し違うような気がするな?と思いながらプレイを続けていたら、やっこには美智代の霊が憑りついていることが判明するんだけど、時々やっこの気が触れたような反応をしていたのが真相へのヒントになってたの、めちゃくちゃおもしろ……。そして何よりそれが判明した後にこっくりさんで最後の会話をするのが、ほんと……こういうのに弱くて……。

この前にバッドエンドを踏んでいたから余計に感じたのかもしれない。美智代がやっこの体を使って復讐を遂げるバッドエンド、その後失踪するのも含めて「美智代ーーーーーーーー!!!!!復讐を遂げた最高女ーーーー!!!」となった。正直言ってかなり好きなんだよねこういう展開……魂が混じりあってもう個々の人格には戻れなくて、けれど心を失くした状態で見つかるとかではなく、ただやっこ(と美智代)は姿を消すっていうの……いい……

真エンドのやっこミヲはやっこに美智代ちゃん取り憑いてたのはっきりさせない√なんかな。でも呪詛玉の影響で美智代ちゃんが強く出たって感じだったから、こっくりさんとの対話で美智代ちゃんの事故のこととか全部聞けた、のかな。

しかし通常√で2回目のこっくりさんの時にミヲがめっちゃ泣いてるのもよかった。経験値めっちゃある霊能力者であってもまだ女子高生だもんね……あと奥田瞳との話しもっと聞かせて……

 

少しずつ各√が干渉しあうのもこういうゲームの醍醐味。

それぞれの事件がある一人の人物に集約されていったりするのとかね……後に登場してくる真由さんの脱出ギミックもよかった(詰んだかと思った)し、どうしてああいう風になるのかも最後にわかってすげー!ってなった。

 

一度「エンディング」を迎えて、黒幕が葉子さんなのがゲーム的にもわかったところでもう一回興家√見返してたら、こいつ勝手に呪詛使いやがる!おい!で気づくやつ。つまり呪詛は「プレイヤーの意志=ボタン操作」でも「興家の意思=操作放置」でも発動してしまう。興家が殺した人数は「プレイヤーが押さずに殺した人数」なので、冒頭で私が書いている「1人」での混乱は、「1回呪殺演出までに押せてないけど押すのとほぼ同時に演出始まったからわかんなかった」ということになります。いやこのゲーム……(笑)

ここで、じゃあ「興家、どうやったら呪いを使わない?」となってめっちゃ考えた。考えて最初は「葉子さんの傍らに落ちる呪詛玉を拾わない」で探索してたけどなにもなかった。拾うしかない?拾ったら弓岡殺しにかかるじゃん?と思ってったけどなんやかんやあって無事に!真√!出た!やったー!!!!

 

真√で魂、体、精神について答え合わせしてるとき、精神の答えが「私」なのにお前最初の名前確認あれだったの酷くない!?てなった。酷い話だ。でもめちゃくちゃ構成が上手すぎるし、いろんなことに干渉できた理由としてスッキリしててよかったと思う。

もちろん話を通すのにちょっと無理やりかな?と思う部分もあったし、今作の登場人物の中に一人だけ「野放しにしてて本当にいいのか悩むやつ」が生き残っているのがかなり気になる。もちろん悪い展開ではないんだけれど、ゲーム開始前に葉子と結託したりしてたんだよね……?とか、過去の事件はまじで、真エンドで逮捕されるあの異常者とやり取りあったのも事実なんだよね……?本当にいいのかなぁ……津詰がかなり普通に腐れ縁みたいな関わり方してるけどさあ……っていうのは正直かなり、気になる。

全編通してかなり面白かったです。でもこのメタギミックをもう一度活用するのは難しいから、シリーズとして組み上げるのはかなり難しいよな~してほしいけどな~!!となり。

ディレクターでありシナリオを担当されている石山貴也氏の携わった作品はいくつか触れていて、スクストもプレイしてソシャゲを続けられない病気でやめてしまってるんですが、またやるか……という気にもなりつつ、今は探偵・癸生川凌介事件譚のG-MODEアーカイブス+版をちまちまやってます。DS版はほぼリアルタイムで遊んでたんですがソフトはどっかにいきました。またやりたいから出てくるといいな……!あとDS生きてるといいな……!(私の3DSはトリガーが死んでいるのでゼルダができません)

 

余談

このブログ、パラノマサイトの感想もっと書きたいしふせったー死にそうだしで突貫で準備してちまちま本分書いてたんですが、無事本日API停止になっているので、ああ……という気持ちとともに書き終わりました。ゲームの長文感想、これからはここに投げるで正解かもしれない。

 

おわり。